概要・特色
社会の常識を見つめなおす
私たちが暮らす社会は、家族、地域、学校、企業、サークルといったさまざまな集団や組織で構成されています。そこには共同の秩序と調和を保つための人間関係のルールやメカニズムがあるとともにさまざまな葛藤や変化もみられます。
社会学は、このように人間が複数集まっている状態を観察し、人間と人間の関係や個人と社会の関係を研究する学問です。そこでは、社会とその変化を、人間行動とのかかわりを焦点にしつつ、科学的方法によって理解し解明していくことが目指されます。こうした学問として、社会学の研究領域は、家族や学校、企業、農村、都市といった多様な集団や、そこにおける政治、宗教、教育、社会心理、社会病理など広範な現象を含むことになりますが、このすべての領域において、社会学は実証的な調査研究を通じて理論化の作業を行うことを特色としています。
生活の多様化、情報化、国際化が進展する現代社会において、それらの変化に充分に適応できなかったり、自己喪失に陥ったりする人々も少なくありません。また、男女格差の問題や少子化、高齢化、環境問題などもクローズ・アップされてきています。このような問題を個人の心や意識の問題としてだけではなく、社会の構造(しくみ)との関連で考え、人間の幸福や人間性の実現に向けての処方箋を作り出していくのも社会学の役割です。
社会学科の教育は、みずからの社会学的な発想をもって21世紀の社会に対処してゆける人材の創出を目指しています。そのためのカリキュラムとして、社会学の基礎理論や方法論に加えて、情報社会、高学歴社会、グローバル化、異文化比較、格差社会、ジェンダー論、大衆文化など、今日とくに注目されている問題をテーマとする講義や演習も用意されています。また、実証的な調査研究が体験できる調査実習科目や、海外の各分野の専門家(客員教授)による講義・演習科目など、実践的・国際的な視野での教育も充実しています。
履修上の特質
社会学では「実証研究を通じた理論化」、つまり調査を通して集められたさまざまなデータをもとに、人と人との関わりから起こる諸現象を、理解し説明していくことが重視されます。そのためにはフィールドワークやアンケート調査といった「社会調査」の方法、ならびに「社会学理論」の学習を通して培われる社会学的発想がともに重要になります。
社会学科では、これらについて導入科目から専門科目まで段階的に学習できるように、1年次には情報検索能力・読取能力・操作能力・表現能力を養うためのファーストイヤーセミナーのほかに、理論系と調査系の入門科目を配置しています。2年次にはさらに調査法の上級編を学習し、ゼミナールを通して社会学的発想のトレーニングを行います。3年次からはゼミナール・調査実習・専門科目を通して、理論系と調査系の本格的な指導を受けます。そして4年間の集大成として、個々人のテーマについて社会学的研究を行い、卒業論文をまとめます。
学生との直接的コミュニケーションによってきめ細かなサポートが行えるように、1年次から4年次まで10〜20人の少人数クラスが配置されています。「社会調査実習」では、教員、ティーチングアシスタントによる1年間を通じた本格的な研究調査の指導を受けることができます。多くの学生は調査実習を通して実証研究の醍醐味を感じ、自らの卒業論文に発展させていきます。国際的な視野を養うために、海外での調査実習や外国人研究者による講義・演習も開講されています。
現代社会では「問題発見とその分析が行える」人材が求められますが、社会学科はさまざまな観点から世の中を分析し、社会の常識を見つめなおすことができる人を育てる教育を充実させています。