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学部長から

Into the Field 社会で学ぶ

授業風景

同志社大学 社会学部長  浦坂 純子

 同志社大学社会学部は、2005年に文学部の改組・転換により、当時の社会学科4専攻(社会学専攻・社会福祉学専攻・メディア学専攻・産業関係学専攻)と文化学科の教育学専攻を母体として設立されました。間もなく20周年を迎えようとしています。

 拠点とする新町キャンパスは、今出川キャンパスにほど近い閑静な住宅街の中にあり、落ち着いて勉強するには最適な環境です。2023年春には育真館(体育館)の跡地に新創館という新しい校舎が竣工し、その1階には念願のラーニングスペースが作られ、設備面でも今後一層の充実が見込まれています。

 社会学部の特徴は、その設立の経緯から、5学科の個性が際立っていることが挙げられます。入学定員も学科ごとに設定されており、何事も学科単位で動いています。それゆえ「社会学部」としてのまとまりは少し見えにくいかもしれません。しかし、私たちが生きる「社会」はとても複雑です。様々な角度から読み解く必要に迫られています。

 2023年は関東大震災から100年ということで、防災関連の報道が目立つようになりました。日本は災害大国です。先日、NHKで「南海トラフ巨大地震」というドラマ仕立ての番組が放送されていました。引退して故郷の高知で暮らす老夫婦、その長男家族が大阪に、長女が東京にいて地震に遭遇するというストーリーです。

 長男は夫婦と息子1人の3人家族で、夫は町工場の2代目、妻はパート、小学生の息子は学校で防災教育を受け、風呂に水を溜めておいたり、あらかじめ避難場所を決めておいたりと積極的でした。家族の描かれ方や防災教育のあり方などは、社会学科、教育文化学科で取り上げられそうです。

 大津波に見舞われた高知では、地域で助け合って避難します。高齢者や身体の不自由な人を誰が助けるのか、避難所でどのような配慮が必要か、社会福祉学科で掘り下げられるかもしれません。メディアの報道の仕方一つで、危機意識が高まることもあれば、油断してしまうこともあります。普段からどんな情報をどういう形で伝えていくのか、メディア学科ではそういうことも考察できるでしょう。

 町工場の事業継承や吸収合併、既婚女性のパート就業などは、雇用や労働を扱う産業関係学科のフィールドです。加えて、キャリアという視点では、東北から高知に移住し、地域を支える一員となっていた男性も印象的でした。色々な生き方、社会とのかかわり方、キャリアの選択肢が広がっているのが「今」という時代です。

 ドラマの最後に、東京の大学で社会科学を学び始めたという女子学生が高知に帰省して、「何の勉強をしているの?」と尋ねられるシーンがありました。「データを解析して、人間の思考や行動をマーケティングやサービスに活かして……簡単に言ったら未来を良くするための勉強かな。」なるほど! 

 社会の全てが学びの場。その社会で生きる私たちの未来を良くするために学ぶ。より良い社会の構築に資する人を目指して、充実した4年間をともに過ごしましょう。同志社大学社会学部へようこそ!